ロッキー・ホラー・ショー
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あらすじ
恩師スコット博士に婚約の報告をしようと出かけた恋人同士のブラッドとジャネット。しかし、嵐の中、道に迷った山中で車がパンクしてしまう。電話を借りようと近くの古城を訪ねるが、そこでは目を疑うような奇怪なパーティーが開かれていた。
作品解説
『ロッキー・ホラー・ショー(The Rocky Horror Picture Show)』は、リチャード・オブライエン原作の、ホラー・ミュージカル舞台劇『ロッキー・ホラー・ショー』を1975年にミュージカルホラー映画として映画化した作品で、2005年にはアメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録されました。
本作のジャンルはホラー映画で、不気味な雰囲気を感じる物語ではありますが、全体的にコメディタッチで描かれています。
ロンドンの小劇場で始まったリチャード・オブライエン作のロック・ミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』は、奇抜な内容ながら熱心なリピーターを獲得し、その2年後も映画化。舞台からこの作品にかかわっている監督のジム・シャーマンは、有名ロックスターを使った大予算映画の提案を蹴り、オリジナルのキャストとスタッフを集めた低予算映画にする道を選びました。
その意味不明な内容から公開当初の評価は最悪だったものの、当時(1970年代)の他の映画ではとても見られない奇怪なキャラクター、刺激的な音楽と衣装・舞台のデザイン、同性愛異性愛、異性装などを絡めたエロティックな内容は支持者を増やしていきました。
公開1年後には深夜興行でコスプレをした観客が週末ごとに集まり、映画を見ながら全員でお約束のツッコミを叫んだり、さらにはスクリーンの前で俳優が同時進行で演技するといった、パーティ形式の上映が定着した。
この上映形態は舞台版と同様の熱狂的リピーターを続々と生み出し、やがてカルトムービーの代表格と呼ばれるようになった驚異的作品で、その人気は今もなお続いています。
この上映形態は舞台版と同様の熱狂的リピーターを続々と生み出し、やがてカルトムービーの代表格と呼ばれるようになった驚異的作品で、その人気は今もなお続いています。
映画『ロッキー・ホラー・ショー』より
キャラのセクシュアリティ
その意味不明さが売りの作品で真面目に語るのはよくないのかもしれないけれど、せっかくなのでLGBTQ要素について触れたいと思います。作品全体が性的な要素でまとめられていますが、人造人間を作っている不気味なフランクン・フルターはトランスヴェスタイト(異性装者)を自称しており、さらには屋敷に迷い込んだ男女のカップルの両方を関係を持ちます。
フランクン・フルターのセクシュアリティはパンセクシュアルだそうで、他にもフランクン・フルターのメイドであるマジェンダはレズビアン、執事のリフ・ラフはブラッドに対して「キャンディ・マン(男娼)じゃなくてガッカリした」という言葉からゲイではないかと推察されています。
そんな巻き込まれカップルの男性ブラッドはジャネットという女性の婚約者がおり、彼女をとても愛しているのですが、実のところ同性(男性)への興味を捨てきれないという描写もあります。
と、ここまで登場キャラクターのセクシュアリティを考察していますが、実際はセクシュアリティの考察なんてナンセンスで、特にフランクン・フルターの城館の世界は、性別やセクシュアリティの垣根の存在しない世界なのかもしれませんね。
まぁフランクン・フルターたちの母星がトランシルバニア星雲にあるトランスセクシャル星って言う時点で深く考えるのやめて感覚で楽しめる作品だと分かるけども。
映画『ロッキー・ホラー・ショー』より
「人と違うこと」を祝福
本作はその奇想天外さ、意味不明さ、荒唐無稽さで彩られているものの、「本来の自分を自由に表現すること」というメッセージ性が込められていると言われています。
パンセクシュアルのフランクン・フルター博士をはじめ、レズビアンのマジェンダ、ゲイのリフ・ラフなどマイノリティと呼ばれる人たちが、決して自分の性別やセクシュアリティを恥じることなくさらけ出している反面、外の世界から来たブラッドは同性に対して恋愛的興味を持つことに後ろめたさを感じている。
現実の世界では、性別やセクシュアリティのことで、周りの目を気にして本当の自分を表現できていない人も多いことに対してのアンチテーゼで、作中の彼ら彼女らは性別やセクシュアリティを気にせず、恋愛やファッションなどを堂々と楽しみ、自分を表現していました。
一見奇想天外で奇抜すぎて、中身のないと思われがちですが、そのようなポジティブなメッセージが隠れていて、実際2015年のインタビューでリフ・ラフ役のリチャード・オブライエンは「『人と違うこと』を祝福していること」が評価されたと言っていたそうです。
まとめ
ぶっ飛んだ内容や奇抜な衣装、洗練された楽曲で魅了した本作。全体を通して奇抜過ぎる本作は、まさにキング・オブ・カルトムービー!
本当に意味不明で奇想天外な内容なので見る人が見たら「分からん!」とバッサリ切り捨ててしまいそうですが、そのメッセージ性やその個性的なファッションや音楽も含めてカルト的人気があるのも分かります。
本当に意味不明で奇想天外な内容なので見る人が見たら「分からん!」とバッサリ切り捨ててしまいそうですが、そのメッセージ性やその個性的なファッションや音楽も含めてカルト的人気があるのも分かります。
ちなみに日本でも何度か舞台化されており、映画の『ロッキー・ホラー・ショー』とは違った楽しさがあると思います。
▼古田新太×河原雅彦の「ロッキー・ホラー・ショー」▼
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