あらすじ
とある刑務所に、偶然同日にふたりの受刑者が収容される。ひとりはゲイバーで働く有吉。客のひとりに性的暴行を受けたことに逆上し、殺害。ただし、死亡後も発見されるまで死体を損傷させ続けたことに異常性がみられる。
もうひとりは粗暴な香月。以前にも服役経験がある。路上で喧嘩相手を撲殺。
ある日、有吉が既に息絶えた香月に馬乗りになって首を絞めている所が発見される。有吉は「僕が殺しました」と自白をしているが、香月の首には別の絞殺痕があることから、真犯人は別にいるのではないかと捜査がはじまる。
▼映画『46億年の恋』予告編▼
作品情報
『46億年の恋』は、2006年に制作された日本映画。監督はバイオレンスの巨匠三池崇史で正木亜都の『少年Aえれじぃ』が原作。刑務所で出逢った殺人犯2人がお互いに惹かれあっていく様を描く物語。
妖艶で何かに縋っていないと消えてしまいそうな有吉役には松田龍平。同じく妖艶で魔性な役に『御法度(1990)』があるけれどその時よりはるかに大人としての色気が増した演技も堪能できる。ついで言うとさらにミステリアス要素も加えられた『表裏』もおすすめ。
そんな有吉と同じ日に収容され、後に有吉とは加害者と被害者の関係になる香月役に安藤政信。松田龍平の妖艶な色気とは違って、野性的で暴力的な色気を出しており、特にその粗暴からバトルシーンがおいいのですが、そのキレの良さはピカイチです。
他にも受刑者の雪村役に窪塚俊介、同じく受刑者の土屋役に渋川清彦、有吉の憧れる勇者役に金森穣、警部補役に遠藤憲一、刑務所の所長役に石橋凌、警部役に石橋蓮司と実力派の役者陣がそろっている。
妖艶で何かに縋っていないと消えてしまいそうな有吉役には松田龍平。同じく妖艶で魔性な役に『御法度(1990)』があるけれどその時よりはるかに大人としての色気が増した演技も堪能できる。ついで言うとさらにミステリアス要素も加えられた『表裏』もおすすめ。
そんな有吉と同じ日に収容され、後に有吉とは加害者と被害者の関係になる香月役に安藤政信。松田龍平の妖艶な色気とは違って、野性的で暴力的な色気を出しており、特にその粗暴からバトルシーンがおいいのですが、そのキレの良さはピカイチです。
他にも受刑者の雪村役に窪塚俊介、同じく受刑者の土屋役に渋川清彦、有吉の憧れる勇者役に金森穣、警部補役に遠藤憲一、刑務所の所長役に石橋凌、警部役に石橋蓮司と実力派の役者陣がそろっている。
2人の間の恋ごころ
正直、物語は難解です。時間は前後するわ、キャラクターの心理描写は複雑だわ、現実と精神の境界線は曖昧だわ、途中でアニメーションが入るわ…とにかく内容を理解しようとすると首をかしげたくなるくらい難解です。インタビューの中で三池崇史監督自身が「熱帯魚を眺めるように、ぼんやりと鑑賞して下さい」と述べているらしく、あまり深く理解しようとせず、自分が感じ取ったままに解釈して作品を堪能するのが正解なのかもしれない。
なので個人的見解。有吉と香月の間に恋愛感情はあったのか?作品タイトルにも「恋」と使っているから、恋愛感情はあったと解釈できますが、私個人はなかったのかなと思います。
あくまで有吉の香月に対する感情は勇者の対する憧憬であって、さらにその精を受け取ることを目的としているので、そこまで恋愛感情は読み取れないと感じました。対して香月の有吉に対する感情は庇護対象と言うべきか、ここはどうして庇護対象になったのかは不明ですが、恋愛感情はなかったと思います。
これに関しては見た人それぞれの解釈によると思います、他の人の有吉の蝶は有吉の恋ごころという解釈だったり、香月の入れ墨は有吉の憧憬の象徴という解釈もあるので、なるほどと思わせてくれます。
映画『46億年の恋』より
ロケットとピラミッドと三重の虹
刑務所の外にはロケットとピラミッドがあります。一瞬「なんで?」と思ったのですが、あくまでも個人的解釈ですが、ロケットやピラミッドは精神世界のもので、ロケットは宇宙、ピラミッドは天国を象徴していると考えます。有吉と香月の会話で有吉が「死んだら宇宙と天国どっちに行きたいか?」質問すると、香月は「宇宙」理由は「人が少なそうだから」という会話があります。そもそも選択肢として天国と地獄ではなく、宇宙と天国ってのがまた面白いです。
この会話、すごく意味深で「そもそも死後の世界があるのか」「本当は香月はどちらに行きたいのか」「有吉はどちらに行きたいのか」という、すごくふわふわとした会話の中に香月の「自分は汚くて、有吉は綺麗なものだから汚したくない」という感情や有吉の香月に対する「憧憬とも恋心とも区別のつかない感情」表現しています。
そして三重の虹。直接の香月の死の原因となった三重の虹にはどういう意味が込められていたのか。こればっかりは本当に分からない……、ただ個人的には三重の虹の虹を見た香月は「死んでしまえば宇宙も天国もなく行きつく場所は一緒だ」と悟ったのかなと。
映画『46億年の恋』より
まとめ
『46億年の恋』今回本当に自分の独自解釈で文字を書きましたが、本当に見る人見る人で解釈が変わりそうな秀逸な作品だと感じました。物語は事件は解決し、有吉の動機も分かったところで終わるのですが、個人的にはこの後有吉も香月と同じところに行こうとするんじゃないかと思っています、なんとなく。
原作は「巨人の星」や「あしたのジョー」などの著者、梶原一騎の未公開の遺稿を元に、実弟の真樹日佐夫が兄との共同ペンネーム「正木亜都」の名の下で、共同作品として書き上げた「少年Aえれじぃ」という小説で、小説自体は全般で入手困難ではあるものの、映画の内容とはだいぶ違うものらしい。
また映画そのものの撮影は、営業中のボーリングセンターの地下を貸し切って、一箇所ですべてを撮影したといういささか現実離れした簡素な監獄セットで、舞台のような独特な雰囲気を感じます。
その反面、ロケットなどの宇宙がモチーフやピラミッドなどタイトルの『46億年の恋』に相応しい壮大さを感じる素敵な作品だと感じました。
映画『46億年の恋』より
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