
あらすじ
ベイルートにあるヘアエステサロンのオーナーのラヤールは、30歳の独身。仕事が手につかず恋人の電話を待ち焦がれる。ラヤールは恋人が忘れた財布から、恋人の妻子の写真を発見する。サロンのヘア担当ニスリンは、婚約者に隠しごとがある。シャンプー担当リマは、不思議な顧客女性に心奪われる。既婚女性ジャマルはサロンの常連で、俳優オーディションに明け暮れる。サロンの向かいの住人ローズは、姉の世話に悩む。
登場人物たちは明るく振る舞いつつ、それぞれの秘密を抱えながら、人生を展開させる。
▼映画『キャラメル』trailer※日本語字幕なし▼
タイトル「キャラメル」の意味
『キャラメル(アラビア語原題: Sukkar Banat 英題: Caramel)』は、2007年製作のレバノン映画で監督および主演はナディーン・ラバキー。タイトル「キャラメル」は、お菓子のキャラメルのことではなく、砂糖、レモン汁、水を煮詰め、水飴状にしたもののことで、中東では皮膚に接着してムダ毛と一緒に剥がす溶剤のようなもの。
中東では女性の美の条件のひとつに「ムダ毛がないこと」があげられるため、ムダ毛の処理はもはや常識で当たり前。そのため、キャラメルを用いて脱毛する際は、女性同士で集まって夫や姑の愚痴を言い合ったり、縁談の相談をしたりするそうです。日本で言うところの井戸端会議のようなものかもしれません。
タイトル「キャラメル」ですがアラビア語の原題は「Sukkar Banat」で直訳すると「砂糖の女たち」。アラビア語で「君はスッカル(砂糖)だ」と女性の美しさを褒めることばあるそうで、ムダ毛処理をする砂糖と美しさの砂糖をかけて「砂糖の女たち」というタイトルは素敵ですね。
個人的には甘味と酸味があるキャラメル(実際映画でもキャラメルをつまむシーンがある)で、時には火傷するということも含んでいるという「甘さと痛み」を共有する「キャラメル」というタイトルも好きです。
映画『キャラメル』より
「重罪」な女たち
物語は4人の女性。オーナーのラヤールは30歳で独身。日本で30歳独身の女性というのは決して珍しくはないですが、中東では完全な行き遅れでラヤールはその現実に焦っている状態。尤も昨今は中東でも20歳代までに女の子はみんな結婚!という考えはさすがに薄れているらしいのですが、婚約くらいはしているそうです。
他の女性陣にもそれぞれ秘密を抱えていて、シャンプー担当のリマはレズビアンで、あるミステリアスな女のお客に深く心を奪われ、カット担当のニスリンには婚約者がいるものの、処女ではないことを隠しており、お客のジャマルは一見幸せそうな中年女性だけど夫とは別居しており、女優になる夢を捨てきれず、20代の若い子たちに混ざってオーディションを受ける日々。
他の女性陣にもそれぞれ秘密を抱えていて、シャンプー担当のリマはレズビアンで、あるミステリアスな女のお客に深く心を奪われ、カット担当のニスリンには婚約者がいるものの、処女ではないことを隠しており、お客のジャマルは一見幸せそうな中年女性だけど夫とは別居しており、女優になる夢を捨てきれず、20代の若い子たちに混ざってオーディションを受ける日々。
ラヤールは中東ではいわゆる「行き遅れ」状態の上、さらに妻子のある男性と不倫関係にある。中東では分はかなり重罪で、女性の方が既婚者であるならば「名誉犯罪」(法律上禁止されているものの一族の名誉のために夫や女性の家族が殺害する行為)が行われるほど重罪。
ニスリンの処女ではないことを隠して結婚も実はかなり厳しく、ほんの20年ほど前にエジプトで新妻が処女じゃないことに腹を立てた夫が妻を殺害、後に夫は捕まり、新妻も死後処女であることが確認されたが、夫側に同情が集まりさほど重い罪には問われなかったケースがあったほど処女信仰が強いそうです。
映画『キャラメル』はそんな中東特有の「重罪」を抱えた女性たちのお話です。

ニスリンの処女ではないことを隠して結婚も実はかなり厳しく、ほんの20年ほど前にエジプトで新妻が処女じゃないことに腹を立てた夫が妻を殺害、後に夫は捕まり、新妻も死後処女であることが確認されたが、夫側に同情が集まりさほど重い罪には問われなかったケースがあったほど処女信仰が強いそうです。
映画『キャラメル』はそんな中東特有の「重罪」を抱えた女性たちのお話です。

映画『キャラメル』より
中東の同性愛事情
シャンプー担当のリマはレズビアンです。前述のように既婚者と不倫しているラヤールや処女ではないニスリンが重罪であると同様にレズビアンであるリマも中東においては「重罪」です。
中東では同性愛に対して厳しく、舞台となったレバノンは同性同士の性交渉は違法とされています。ピクサーの長編アニメ『バズ・ライトイヤー』や『ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス』では同性愛描写があるため公開中止するほど。
そんな中東の同性愛事情ですが、昨今ではLGBTQの権利解放に向けてデモなどが少しずつ行われているようで、国民の中から今の国のあり方に異議を唱える声も上がっているようですね。
映画の中では不倫や非処女よりも重たくは描かれず、リマは女性客との秘密の恋愛を楽しんでいるようでした。
映画『キャラメル』より
まとめ
2007年 サン・セバスティアン国際映画祭にて、観客賞・ヤング賞・セバスティアン賞をはじめ、各国で様々な賞をとっただけあり、中東の情勢に関わらず非常に分かりやすく女性の情緒的な風景に切なくもあり勇気づけられます。
中東とかイスラム圏というと、どうしてもテロや原理主義者といったネガティブなことを連想してしまいますが、本作から「中東特有の女性の悩み」と「世界各国共通の女性の悩み」を感じ取れる作品になっていると思います。
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