四角い恋愛関係


あらすじ

みんなに祝福され結婚式をあげたレイチェルとヘックだったが、新婦レイチェルは、式の当日のパーティーで花を担当していたルースと出会った時に、何かを感じる。

そして、ルースと新郎ヘックの友人・クーパーとの出会いを画策したことにより、新婚夫婦になったばかりの二人の恋は思いもよらない方向へと展開していく。

▼『Imagine Me & You』 Trailer※日本語字幕なし▼


作品紹介

『四角い恋愛関係(Imagine Me & You)』は、2005年制作のアメリカ・イギリス・ドイツ合作のラブロマンス映画。

邦題も『四角い恋愛関係』だし、内容的にも「4人の男女が繰り広げるラブコメディ」と言われていますが、ほとんど新婚のレイチェルと花屋のルース、レイチェルの夫のヘックの3人の恋模様を描いています。

自分の結婚式に来ていた花係のルースに、なんとも言えない複雑な感情(後にそれが恋愛感情だと気づく)をいだいたレイチェルと、そんな新婦レイチェルに恋をしたレズビアンのルース……レイチェルとルースが恋に落ちれば不倫関係になってしまう……という設定だけ見たらめちゃくちゃドロドロしそうな設定ですが、

実際はそこまでではなく、作品全体がコメディ色が強く、セリフの端々にユーモアがあって、しかもキャラクターがみんないい味しているので、レイチェルとルース、それにヘックの3人に幸せになってほしいと応援したくなる作品です。

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映画『四角い恋愛関係』より

同性愛嫌悪表現の少なさ

この作品の評価はその「フォビック(同性愛嫌悪)表現」の少なさにあります。

2005年当時、まだまだ同性愛に理解が完全にあるとは言えず、同性愛に対して差別的表現があったり、同性愛を「禁断の愛」なんて言って障壁したりする風潮が強くありました。

しかし『四角い恋愛関係』はそういった同性愛の描き方はほぼせず、多少そういった考えのキャラが出てくる程度で、レイチェルとルースの障壁はもっぱらレイチェルが既婚者であること。さらにレイチェルの夫であるヘックがめちゃくちゃにいい人だと言うこと。

こういった背景には映画の舞台となった多様性を重んじるイギリスの風土が強くあり、世界的に見ても同性カップルへの養子縁組の差別禁止が法制化されたり、小学校でLGBTQについて教えるカリキュラムを組んでいるイギリスだからこそ発信できたのかもしれません。

ちなみに昨今では同性愛に対する理解も深まり、イギリスだけでなくアメリカ合衆国などその他の国と地域は同性愛を2人の障壁とするには弱く、同性愛を障壁として描くために時代設定をまだまだ差別が根強い時代にするのはLGBTQあるあるです。


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映画『四角い恋愛関係』より

ハッピーエンドの同性恋愛映画

『四角い恋愛関係』は同性愛に対する嫌悪表現がほぼない作品と上述しましたが、他にも特徴的な部分として「同性愛をテーマにしながら誰も不幸にならないハッピーエンド」なのです。

聞く人によっては「そんなのよくあるでしょ?」って思うかもしれませんが、2005年当時はかなり珍しい部類で、現在でも同性をテーマにした作品はBL原作でもなければ、不運な終わり方をすることが多いです。

それだけ制作サイドに同性愛は「罪なもの」「障壁」とする考え方が強く、LGBTQ作品で名作と呼ばれる作品のほとんどは「死」「離別」「メリバ」であることも珍しくありません。その点本作は、同性愛を禁断の愛だとか障壁などという扱いはしていないので、当然それ故に同性愛を理由にのバッドエンドにはならないようにできています。

このハッピーエンドの結末は同性愛当事者の恋愛模様の肯定感にもつながりますし、個人的にはもっとこの手の作品が広まってくれたらなという思いです。

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映画『四角い恋愛関係』より

まとめ

とてもキュートな恋愛映画でした。レイチェルとルース、ヘックのメインキャラだけでなく、サブキャラクタも魅力的で、女たらしのクーパーはちゃらんぽらんに見えるけどちゃんと友達思いだと言うことや、レイチェルのダメな両親や、しっかりしすぎな妹など、一癖も二癖もあるキャラクターが、みんあ生き生きしていて、最初と最後では印象が変わってくるのも面白い作品です。

最後はやや強引かなと感じるところもありますが、登場キャラクターたちが幸せならそれでよしと思える素敵な映画でした。

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映画『四角い恋愛関係』より

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