マリーゴールド・ホテルで会いましょう


あらすじ

すでに老年期に入り、年金を受け取りながら余生を過ごしていた7人のお年寄り。そんな彼らは、それぞれの理由からとある計画を実行しようとしていた。それは、インドにあるジャイプールへと移住するという、スケールの大きい計画だった。

彼らの移住先は、マリーゴールド・ホテル。マリーゴールド・ホテルの広告は、まるで超一流ホテルの様な豪華さで、その他様々なサービスを安価で受けられるという、まるで夢の様な謳い文句だった。その広告を見た7人の老人達は、そのマリーゴールド・ホテルを訪れた。

しかし、何と実際に見てみると、施設にはヒビが入り、埃を被り、虫もいてドアも壊れているという、ボロボロな施設だった。

▼映画『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』予告編▼


作品紹介

『マリーゴールド・ホテルで会いましょう(The Best Exotic Marigold Hotel)』は、2012年に公開された映画で製作はイギリス、アメリカ、アラブ首長国連邦。

ベテラン俳優陣ばかりを揃えた、史上稀に見る超豪華映画。優雅なリゾート生活を満喫しようとイギリスからインドのジャイプールにやって来た7人の熟年男女が、近い将来豪華になる予定のぼろホテルとジャイプールの街に圧倒されつつも、それぞれが新しい生き方を模索する姿を描いています。

インドにやってきた老人たちがどういう選択をして生きていくのか、若き支配人はホテルを再建することができるのか…シビアなあらすじとは打って変わってポジティブな気持ちになれる映画です。

マリーゴールド・ホテルで会いましょう01
映画『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』より

登場人物紹介&キャスト

イヴリン(ジュディ・デンチ)
40年間連れ添った夫を亡くしたばかりの未亡人の老女。夫の残した多額の借金を返済するために家を売り、息子からの一緒に暮らそうとの提案を断わってインドにやって来る。
インドでの体験をブログに綴り、その内容がモノローグで語られる形で物語が進行する。

ダグラス(ビル・ナイ)
初老の男。老後を夫婦で暮らすための家をイギリス国内で買うつもりが、退職金を出資した娘の事業が失敗し、予算の都合で仕方なく妻ジーンとインドにやって来る。
楽天的な性格でインドでの生活をそれなりに満喫する。何かと悲観的で文句ばかり言っている妻への気持ちは既に冷めており、心優しいイヴリンに惹かれる。

ジーン(ペネロープ・ウィルトン)
ダグラスの妻。いつも文句ばかり言っている悲観的な性格で、インドにやって来ても全てが気に入らないとして、ホテルに閉じこもっている。
知的で紳士的なグレアムに惹かれ、積極的にアプローチする。

ミュリエル(マギー・スミス)
人種差別主義者の老女。イギリスでは半年も待たされる人工股関節置換手術をすぐに受けるために、大嫌いなインドに仕方なくやって来る。
メイドとして長年仕え、人生のほとんどを捧げて来たお屋敷からお払い箱にされ、家族もおらず、孤独。

グレアム(トム・ウィルキンソン)
高等法院の判事。エリートでありながら、全く嫌味がない気さくで優しい紳士。ある日突然に仕事を辞め、大学進学前の18年間を過ごしたインドに行くことを決める。
かつて深く愛し合いながらも別れさせられた同性の恋人マノージと再会することが目的だったが、その行方はなかなか分からない。

マッジ・ハードキャッスル(セリア・イムリー)
結婚・離婚を繰り返している恋多き女性。娘から当たり前のように孫の世話を任されることに嫌気がさし、金持ちの夫を探すためにインドにやって来る。

ノーマン・カズンズ(ロナルド・ピックアップ)
女たらしの老人。「最後のロマンス」を求めてインドにやって来る。

ソニー・カプール(デーヴ・パテール)
ホテルの支配人。ホテルのオーナーである3兄弟の末弟。兄たちも母も経営難のホテルを売却したがっているが、亡き父の愛したホテルを何とか立て直し、優秀な兄たちを見返したいと強く願っている。

スナイナ(ティナ・デサイ)
ソニーの恋人。兄ジェイがマネージャを務めるコールセンターのオペレーター。ソニーをデリーの名家の娘と結婚させたい彼の母親から結婚を反対される。

マリーゴールド・ホテルで会いましょう02
映画『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』より

老いることは素敵なこと

「老い」というは体力的にも若い頃とはアドバンテージが違うし、若い世代からは下に見られるし、死期も近い。マリーゴールド・ホテルを訪れた7人の老人たちもそんな考えを持っていたと思います。

しかし、インドに住み、現地の人や同じホテルの面々と触れ合っていく内に、決して老いることは悪いことや怖いことだけではない、 むしろ素敵もあると思い、思わせてくれる作品です。

マリーゴールド・ホテルを訪れた7人は、正直癖のある老人たちです。人種差別が当たり前の人、色恋にいつまでも貪欲な人、夫を亡くし自暴自棄になってる人、とにかく不平不満を言い続ける人。

彼は長年生きてきたというだけで、彼らの中に「驕り」のようなものがあったのだと思います。その驕りがインドでは通用しない。通用しないからこそ、今こそ自分を振り返ってみたり、自分には何ができるのか、何ができないのか……人生の終着点直前で改めて自分と言うものを考えなきゃならない。

死期が近いからこそ、思い切った行動ができる。長年生きてきた経験値もある。諦められないプライドもある。そんな彼らの変化に勇気づけられます。

個人的には人種差別主義をずっと持っていたミュリエルが現地のインド人たちと触れ合うことで自分の考えを改めるようになったシーンと、それまで不平不満ばかりを言って周りに当たり散らしインドでも引きこもっていたジーンが自身の愚かさに気づくシーンが好きです。

マリーゴールド・ホテルで会いましょう04
映画『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』より

永久を愛とその影響

トム・ウィルキンソンが演じる高等法院の判事のグレアムは、大学進学前の18年間を過ごしたインドに行き、かつて深く愛し合いながらも別れさせられた同性の恋人マノージと再会することが目的としていました。

彼自身はとても紳士的で、なかなかインドの暮らしに馴染めない面々をさりげなくサポートしたり、いち早く現地の子供たちと交流を持つなどかなり前向きな性格でした。

途中、難航していた昔の恋人探しにイライラしつつも、何とか現在の住まいを見つけて会いに行くと、マノージは結婚して穏やかに幸せに暮らしていた。実は、彼もまたグレアムを今でも愛し続けており、そのことを妻に打ち明けた上で夫婦として暮らしていました。

個人的に印象的だったのは、グレアムが強制的に別れさられた昔の恋人を終身刑にしてしまったと思っていたらが牢に入れられたは自分だったというグレアム。彼の紳士的な振る舞いの裏に苦悩と挫折と後悔を感じるそのセリフはとても胸を打たれました。

個人的な感じ方ですが、このグレアムがある意味いちばん周りに影響を与えたのではないかなと思いました。永久とも言える愛や夫婦関係を見たイヴリンやダグラス、「牢から出てこれた」とグレアムの口から聞いたノーマンは、自分の思いや過去を振り返るきっかけになったではと感じました。

マリーゴールド・ホテルで会いましょう03
映画『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』より

年を重ねてしまうと、もう何度もやり直す時間も気力もないかもしれない。彼らは決して完璧な人間ではないけれど、長い年月、懸命に生きてきた。 だからこそ、人生も終わりの時期に差し掛かっても、前を向いて輝こうと抗えるのだと思いました。

何事も最後は大団円。今はそこへの途上。

【関連記事】
【家族愛と差別意識】幸せのポートレート【LGBTQ 映画】
【下ネタ満載のゲイアニメ】クィア・ダック【LGBTQ アニメ 映画】
【消えたカリスマロックスターの謎】ベルベット・ゴールドマイン【LGBTQ イギリス映画】
【突然消えた親友は何者なのか】影裏【LGBTQ 映画】
【狂信的愛憎の共依存】ダブルミンツ【LGBTQ 映画/BL】