性同一性障害/性別不合/性別違和
最近「性同一性障害」とは別に「性別違和」とか「性別不合」という言葉を見聞きすることも増えたと思いますので、ここでザックリと簡単に解説。

まず「割り当てられた性別や身体的性別と性自認(性同一性/ジェンダーアイデンティティ)とがマッチしておらず、社会生活が困難な症状」に「性同一性障害(Gender Identity Disorder)」という疾患名が割り当てられました。

ここに至るまでは、マジでいろいろあったんですが、今回はそれは省略。

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この「性同一性障害」…それまで「性癖」とひとくくりにされていた経緯があったので「病気」ということにしたことで、ホルモン治療や性別適合手術などの医療行為が受けられるようになったし、「変態的な趣味」という位置づけから脱却することができました。

しかしその反面、「病気(精神疾患)」と区分されてしまったことで、いやな思いをする人もいました。

特に「障害(Disorder)」という言葉に圧を感じたり、疾患名そのものが「性同一性(Gender Identity)に障害(Disorder)がある」みたいだという声もありました(障害があるのは性同一性/性自認ではなく、身体の方という考えのため)。

その後、紆余曲折あり「性別違和(Gender Dysphoria)」という言葉が生まれました。

「障害(Disorder)」という言葉を取り除き、「性別(Gender)に違和(Dysphoria)がある状態」という疾患名になりました。

これには「性同一性障害よりも使いやすい」「重々しくない」という声もあり好評でしたが、日本ではあまり広まりませんでした。医療の現場では事情があり使いにくかったようです。

また「病気(精神疾患)」という区分は相変わらずだったので、そこに難色を示した人もいました。

次第に「性別違和がある/ない」とか「性別違和が強い/弱い」という使われ方をするようになり、疾患名としての「性別違和」はちょっと鳴りを潜めました。

そして最近になって「性別不合(Gender Incongruence)」という言葉が生まれました。

「性別(Gender)が合ってない(Incongruence)状態」という「性別違和」よりも実態に合った言葉で、さらに、それまでの「精神障害」という区分ではなく「性の健康に関する状態」という区分に移動になりました。

このことで「精神にズレがあるのではなく、身体にズレがある」という位置づけになったことで、より理解が深まった形に落ち着きました。

もちろん区分が変わっただけなので、それまでの医療行為は受けられます。

(言葉を作った機関それぞれ違ったりもするのですが、ここで省略します…詳しくはググってね)

じゃあ、これから日本も「性同一性障害」ではなく「性別不合」になるのか?…一応そういう動きもあるっちゃありますが、現状「性同一性障害」が広く使われている状態。

世間一般的にもそうなのですが、戸籍の性別を変える特例法の名前も「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」だし、性別を変更するための治療項目も「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」となっています。

ここら辺から変えていかないとだめだろうけど、正直このあたりは日々状況が変わっている状態なので