境界のないセカイ/幾夜大黒堂
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あらすじ
舞台は近未来の日本。
医学の発達によって人間の性を完全に変更することが可能になり、18歳以上の国民は持って生まれた性を維持するか、別の性に変更するかを選択することが出来る「性選択制度」が導入されていて、性の選択権は基本的人権の1つとして認められており、学校でもきちんと教育されている。
医学の発達によって人間の性を完全に変更することが可能になり、18歳以上の国民は持って生まれた性を維持するか、別の性に変更するかを選択することが出来る「性選択制度」が導入されていて、性の選択権は基本的人権の1つとして認められており、学校でもきちんと教育されている。
ある日、大槻勇次の家に1歳年上の従兄弟の内田啓太郎が訪ねてくる。
しかし、啓太郎は18歳になったのを機に女性へと性を変更し、内田啓子となっていた。
啓子はしばらく勇次の家に滞在することとなるが、仲の良かった従兄弟がいきなり女性になったこと、そして自分の身近に年が近い異性がいることに戸惑う。そんな勇次を啓子は翻弄する。
しかし、啓太郎は18歳になったのを機に女性へと性を変更し、内田啓子となっていた。
啓子はしばらく勇次の家に滞在することとなるが、仲の良かった従兄弟がいきなり女性になったこと、そして自分の身近に年が近い異性がいることに戸惑う。そんな勇次を啓子は翻弄する。
漫画『境界のないセカイ(著:幾夜大黒堂)』より
作品説明
『境界のないセカイ』は、幾夜大黒堂による漫画作品で、当初はウェブ媒体の「マンガボックス」にて連載されていたものの、一度は諸般の事情で打ち切りに、その後KADOKAWAの少年漫画雑誌『月刊少年エース』に移籍して連載されたという、異色の経緯の作品です。
時代は近未来の日本で、医療技術の発展により「性別が選べる」という世界観で、現実世界の「性別移行」や「性別適合手術」とは違って、細胞レベルで性別が作り変えられるので、男性が女性に性別移行した際は妊娠出産もできるという特殊設定。
また社会的にも性別選択の整備が進められており、医療施設ではVR装置によって異性の感覚を知ることができる「体験コーナー」も設置されている反面、再選択した人を「ニセモノ」呼ばわりしたり、「生まれ持った性別を絶対視した反対運動」を行う市民団体も存在。
そんな特殊な世界観をベースに主人公の大槻勇次を中心にさまざまな事情で性別選択をした人との交流を描いた作品です。
漫画『境界のないセカイ(著:幾夜大黒堂)』より
また社会的にも性別選択の整備が進められており、医療施設ではVR装置によって異性の感覚を知ることができる「体験コーナー」も設置されている反面、再選択した人を「ニセモノ」呼ばわりしたり、「生まれ持った性別を絶対視した反対運動」を行う市民団体も存在。
そんな特殊な世界観をベースに主人公の大槻勇次を中心にさまざまな事情で性別選択をした人との交流を描いた作品です。
漫画『境界のないセカイ(著:幾夜大黒堂)』より
自分の意志で性別を選べる
全体的コメディ要素もりもりで楽しい作品でありながら、性別について悩む人、性別を再選択したらしたで悩むことなどをしっかり描けてるいる作品だと感じました。最初のヒロイン内田啓子は、再選択したばかりで男性時代の感覚が抜けなかったり、月経の戸惑う姿が描かれており、最後のヒロイン橘高晶輝は、その簡単に性別選択ができてしまうことの被害者として描かれています。
個人的には、ラストさまざまな性別選択をした人を目の当たりにした主人公・大槻勇次の決断はとても面白いと感じました。
現実世界の性別移行とは違って、身体そのものの性別を変更できるまさに「性転換」できる設定ならではエピソードは面白く感じました。
漫画『境界のないセカイ(著:幾夜大黒堂)』より
問題となった作中表現と連載中止
この『境界のないセカイ』は一度連載中止、単行本発売も中止なるということでかなり話題になりました。理由は作中の表現に問題があるとのことだそうです。作中では「性同一性障害」や「同性愛」などがないに等しい世界観のようで、作中の性別選択をした人は「好きな男性と結ばれたいから女性になる」「高校や中のマウンドに立てるように男性になる」「子供を身ごもりたいから女性になる」といった感じに、性別違和からくる性別選択はあまりないみたいです(性別選択させられたことで苦悩する人は出てくる)。
話題になったシーンのひとつに、男の主人公が女性に性別選択するVR体験内で、オペレーターが「女性の恋人は男性であることが当然である」ように語るシーンがあり、このセリフが「同性愛批判」だと捕らえられたのでは?という話もあります。
漫画『境界のないセカイ(著:幾夜大黒堂)』より
このシーンに関して作者さんは、性別選択が当たり前になった世界観故に「LGBTQの抱える問題に無関心な人が多い」ということのようです。確かに性別選択が当たり前になったのなら「好きな人が同性なら、性別選択して異性になればいいじゃない」と発想してもおかしくはなさそうですよね。
もしかしたしらもっともっと連載が続いていたら、好きな男性がいたから女性に性別選択したのに、その好きな男性はゲイだった……なんて展開もあったかもですね笑
漫画『境界のないセカイ(著:幾夜大黒堂)』著者ブログより
まとめ
性別を自由に選べる「性別選択」というファンタジー設定でありながら、性別についての個々人の考えを描いていて、なかなかに面白く感じました。こういったTS設定では性別が変わったことに戸惑うことはあっても、あまりその性別が変わった故に周りの人間関係まで変わってしまう…っていう展開も少ないですし、なにより自分の意志で性別を選べるというのも設定的に面白いです。
私はラストエピソードも結構好きなんですが、本城聡美編のヒロイン聡美が「野球を続けるために男性になるが、女の子として主人公と付き合いたい」という葛藤を描いたエピソードが好きです。
漫画『境界のないセカイ(著:幾夜大黒堂)』より
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(現実の世界でも「トランスジェンダーの存在」や「性別移行は合法」と認めていても同性愛を犯罪とする国もありますし。)
以前言ったかもしれませんが、漫画だと『11人いる!』に出てきたフロルの種族は成長途中では性別が決まってない生物(人為的にどっちの姓になるかは選べる)ですが、ジェンダーフリーどころかかなり男尊女卑な社会でしたし。