君に好きと言えるまで/蒼井ミハル
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あらすじ
仕草が女性っぽい高校生・井口。周りの男友達の“イジリ”に窮屈さを感じる彼の前に現れた美しい顔立ちの同級生・広瀬。
「井口は変わる必要なんて絶対にないからね」
そう話してくれた広瀬の言葉に救われた井口。
二人は友達に、その関係は徐々に変化していく――。
漫画『君に好きと言えるまで(著:蒼井ミハル)』より
感想
『君に好きと言えるまで』は蒼井ミハルによる漫画作品…ジャンル的には一応BLになるの…かな?でもBLというには、BL要素が薄くて(一応同性愛的要素を想定しているらしい)、どちらかというと、男子の普通からはみ出た2人の物語といった感じ。
広瀬の言葉に救われた井口が、紆余曲折を経て広瀬に対する思いが「好き」という感情だと気づくまでの、なんというか純粋すぎるお話で、本当に二人のその後…が気になる作品でした。
漫画『君に好きと言えるまで(著:蒼井ミハル)』より
ステレオタイプの男子から外れた2人
仕草が女性的(内またになったりなど)な井口と見た目が美しく可憐な広瀬、ふたりはいわゆる「ステレオタイプの男子から外れた」2人。そんなステレオタイプから外れた2人は、男友達から悪意のないイジリを受けることもしばしばで、それに嫌気を感じているが、それを強く否定することができない井口、反面、広瀬は軽くいなすが、内に秘めた思いはまた別のところにあるといった感じ。
「本当にキツい時は逃げちゃえばいいし それでもダメなら大事にしてさ 俺…味方になるし…だから…井口は変わる必要なんて絶対にないからね」
友だちのイジリを窮屈に感じていた井口に対して、広瀬が言ったセリフ。このセリフは広瀬の「だから二人の時はありのままでいたい」という想いにもかかっていて、取り繕っても無理ならお互いを拠り所にしようという友情を感じました。
漫画『君に好きと言えるまで(著:蒼井ミハル)』より
広瀬のパーソナルな部分※終盤のネタバレあり
漫画『君に好きと言えるまで(著:蒼井ミハル)』より
物語終盤、広瀬は井口を自分の部屋に招待し、広瀬が「繕って隠していた部分」を打ち明けます。
広瀬はメイクを嗜み、将来的にメイクアップアーティストになりたいと打ち明けました。ただ「男子は普通メイクしない」という考えから、友人知人に打ち明けることをためらっていました。
ただ、井口に対しては、馬鹿にしたり、ネタにしない…言われる側の気持ちが分かるから、と自分の夢を打ち明けました。
そして井口は広瀬のメイクを通じて、それまで「仕草が女性的な自分」が嫌いで嫌いで仕方なかったのに、はじめて自分のことを肯定的に捉えられるようになりました。
基本的に井口の視点で物語が描かれているので、広瀬の心情は分かりかねますが、多分広瀬もまた自分を否定しないでいてくれる井口をよく思っているのだと思います。
漫画『君に好きと言えるまで(著:蒼井ミハル)』より
自分を肯定する物語
一応恋愛的要素があるにはあるのですが、主に心の成長…というか、「自分を否定しないこと」「自分を肯定すること」の大切さを感じました。「ちょっと変わった部分」をいじられると、それを「おいしい」と感じる人もいれば「不快だ」と感じる人も当然いて、井口も広瀬も後者なのかなと思います。
特に広瀬に関しては、自分の最もパーソナルな部分は見せずに「可愛い見た目」を表に出して視線誘導しているあたり、逃げる術も持ち合わせていました。
ふたりの恋愛目的で見るとちょっと物足りないですが、二人が自分を肯定的に捉える物語だと見るととても素敵で、もう少し自分を好きになろうかなと勇気づけられる物語だなと思います。
漫画『君に好きと言えるまで(著:蒼井ミハル)』より
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