キャッチャー・イン・ザ・ライム/背川昇
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あらすじ
青春は孤独だ。でも、わたしには“言葉”があるから。
ネガティブでひっこみ思案、思ったことが口に出せない主人公・高辻皐月(たかつじさつき)はなんとなく噛み合わない毎日を過ごしてきた。
しかし女子高入学式当日、同じく新入生のレンとアンズが披露したラップと出会ったことで、高校生活が少しずつ輝き出す。
「ねえ、わたしたち、崖っぷちに立つ誰かを救えるのかな?」
CV:小倉唯 コミック『キャッチャー・イン・ザ・ライム』 ラップラジオCM
女子高生×ラップバトル
『キャッチャー・イン・ザ・ライム』は背川昇による漫画作品で内気な女子高生がラップバトルに出会ったことで自分を変えていく過程を描いています。
ラップバトルを題材としているため、ラッパーの般若、R-指定の2名が監修を務めています。
キャッチコピーは『百合ラップ・コミック』とはなっているけれど、女の子たちが集まってラップバトルをしているというだけで、女の子同士の恋愛要素はほぼないです。ただ異常な執着を見せるキャラはいるのでそこが闇百合要素なのかなと思ったり。
基本的に4コマスタイルの漫画ですが、要所要所で4コマではないスタイルになったりしてメリハリのある漫画になっています。
ラップバトルを題材としているため、ラッパーの般若、R-指定の2名が監修を務めています。
キャッチコピーは『百合ラップ・コミック』とはなっているけれど、女の子たちが集まってラップバトルをしているというだけで、女の子同士の恋愛要素はほぼないです。ただ異常な執着を見せるキャラはいるのでそこが闇百合要素なのかなと思ったり。
基本的に4コマスタイルの漫画ですが、要所要所で4コマではないスタイルになったりしてメリハリのある漫画になっています。
内容はとにかく重い。怒られ続けたことで委縮し人前でしゃべるのが苦手になった主人公、家が貧乏で毒親の少女、トランスジェンダーで女子高生はなんか闇を抱えてる。とにかく登場キャラクターがみんな闇を抱えていて重いです。
ただただ重い作品ならそれで終わりですが、ラップバトルなので、その鬱々とした思いをラップという言葉に乗せて歌い上げるのが魅力の作品でもあります。
漫画『キャッチャー・イン・ザ・ライム』より
トランス女子高生・空木
作中にはトランス女性で女子高に入学した春月空木というキャラがいて、彼女は主人公の部活勧誘ラップを聞いて入部を決意しました。彼女のラップスタイルなんと下ネタ。最初にカミングアウトをしているので他の面々も空木が戸籍上男性のトランスジェンダーであることは知っているが、それを気にしている様子は特になく、むしろ本人が一番気にしているという状況。
中学時代は性別の違和感のこともあり、ほぼ引きこもり。女生徒として生活するも不安がいつまでも付きまとい、自分自身にとにかく自信がない。女の子らしさがわからない、周囲の「可愛い」といった褒め言葉を信じられなかった(みんな気を使って褒めているのだと思っている)。
ラップバトルにおいても堂々と下ネタラップを披露しているようで、本当は自分の男性的な声を出すのも嫌で、女性の声を出せているか何度も録音で確認している。
そういった彼女の不安や闇深い部分は、ラップにおいて下ネタを披露しピエロになることでごまかしている感じがしました。
その後さまざまな経験を経て、下ネタラップは健在のまま高校生ラップ選手権で優勝をしたりもしている(その後、同じくトランス女子高生のラッパーにあんたのせいでトランス女性のイメージが悪くなると言われて頭が真っ白になっていた)
言葉に想いを乗せて…
ラップバトルはつまりはディスりあいの言葉のバトル。一見悪口にしか聞こえない言葉もラップに乗せることで、相手の気持ちを引き出したり、自分の思いを乗せたりする技術は圧巻です。作中では明らかに相手を傷つけるためのラップバトルをするキャラや主人公に関してはディスらないラップスタイルを披露しているため、いろいろなラップを知ることができるのも楽しいポイントです。
また漫画という紙面で音楽や言葉(韻踏み)など伝わりにくい部分もあるかと思いますが、韻の部分を太字のフォントで表現したりしているので、意外にも言葉がすんなりと入ってくる感じました。
少女たちが単純な「言葉」ではなく「ラップ」に思いを乗せて、思いを一生懸命に伝えるから、彼女たちの言葉に救われる、そんな作品です。
漫画『キャッチャー・イン・ザ・ライム』より
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