さよならミニスカート/牧野あおい
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あらすじ
人気アイドルグループ「PURE CLUB」のセンター・雨宮花恋は、握手会イベントで暴漢に切り付けられ、右腕を負傷する。さらにその後の周囲の反応に傷ついた花恋が、アイドルを引退することが公式サイトで発表される。
それから半年後、花恋は本名の神山仁那を名乗り、長かった髪を短く切り、あえて男子の制服を着て、高校に通っていた。
そんな仁那を誰もかつての花恋だとは思わなかったが、柔道部に所属するクラスメイトの堀内光だけがその正体に気づく。
光の妹は担任からセクハラを受けて、引きこもりになっていたが、PURE CLUBの動画を見て救われたと言って、光は仁那に感謝の言葉を述べる。
そんな光に、仁那も閉ざしていた心を次第に開くようになっていく。
『さよならミニスカート』(牧野あおい)第1話紹介ムービー
そんな仁那を誰もかつての花恋だとは思わなかったが、柔道部に所属するクラスメイトの堀内光だけがその正体に気づく。
光の妹は担任からセクハラを受けて、引きこもりになっていたが、PURE CLUBの動画を見て救われたと言って、光は仁那に感謝の言葉を述べる。
そんな光に、仁那も閉ざしていた心を次第に開くようになっていく。
『さよならミニスカート』(牧野あおい)第1話紹介ムービー
感想
『さよならミニスカート』は、牧野あおいによる漫画作品で、人気アイドルグループに所属していたものの、ある事件によってグループを脱退し、過去を全て隠して高校生活を送る少女を主人公に描かれています。
連載開始時に「このまんがに、無関心な女子はいても、無関係な女子はいない。」というキャッチコピーが添えられ、そのキャッチーな内容に話題になった作品です。
まごうことなき少女漫画でありながら、年齢・性別を問わず心に突き刺さる漫画で、一見センセーショナルな要素を盛り込んでいる作品ですが、少女漫画に欠かせない要素も持ち合わせていたため、幅い広い層に好評だったそうです。
漫画『さよならミニスカート(著:牧野あおい)』より
「男/女らしさ」とは?
作中では「男らしさ」「女らしさ」についての問題提起がされていて、それに縛られている子、抗いたい子、利用する子など、さまざまなキャラクターが登場します。
例えば作中では、仁那がスカートを履かない理由を問われて「自分にはそれ以外無いってこと?」と投げかけたり、男子生徒に対しても「スカートはあんたらみたいな男のために履いてんじゃねえよ」と一喝したりしています。
光は妹を守ってやれなかったことで、自分自身に男らしさを求めるようになりますし、一番印象的なのは、自分を守るため女らしさを封印した仁那に対して、徹底的に女らしさを詰め込んだキャラクター未玖の存在。
正直彼女の行動言動には少しイライラしてしまうのですが、これも彼女自身が「男性社会で波風を立てぬよう」行動した結果なのだと思うと、どうにも責められません。
例えば作中では、仁那がスカートを履かない理由を問われて「自分にはそれ以外無いってこと?」と投げかけたり、男子生徒に対しても「スカートはあんたらみたいな男のために履いてんじゃねえよ」と一喝したりしています。
光は妹を守ってやれなかったことで、自分自身に男らしさを求めるようになりますし、一番印象的なのは、自分を守るため女らしさを封印した仁那に対して、徹底的に女らしさを詰め込んだキャラクター未玖の存在。
正直彼女の行動言動には少しイライラしてしまうのですが、これも彼女自身が「男性社会で波風を立てぬよう」行動した結果なのだと思うと、どうにも責められません。
彼女もまた「女性である自分」を守るために、男受けしそうなキャラを作り、男に媚びを打ったりしている。それでも読者視点からだと、生きやすさと引き換えに何かを見失っていて苦しそうな印象を受けるキャラです。
漫画『さよならミニスカート(著:牧野あおい)』より
性差別のリアリティー
作中では性差別や性表現に関してさまざまなことが取り上げられ、それが妙な生々しさを醸し出しています。それもそのはずで、現実で起こった事件やミームを元にしたエピソードが盛り込まれています。一例を出すと主人公がアイドル活動で握手会をしているときに刺された事件は『AKB握手会傷害事件』、AKB関連では「アイドルは恋愛禁止」「バレたら丸坊主」なんて会話もあります。
他にも「かわいい子は女性専用車両に反対」という『女性専用車両インタビュー』の画像が元ネタであろうエピソードやアイドルが肌を露出してグラビアを取ることの是非を問う「グラドルと少女消費問題」の話も出てきます。
そういった現実世界の諸問題をモチーフにしているからこそ、妙なリアリティーを感じる作品作りとなっています。
漫画『さよならミニスカート(著:牧野あおい)』より
男らしさ、女らしさ、自分らしさ
作中には様々な事情から「男らしさを身に着けたい男子」「女らしさ利用したい女子」「女らしさを捨てたい女子」など性別に縛られているキャラがたくさんいます。作中で仁那は肌の露出多いグラビアの仕事に対して、そのときは「自分なり一生懸命やっていた」と思っていたが、それを「汚い仕事」「こんなことしてるから刺されてもしょうがない」と男女問わず、心無いことを言われるシーンがある。
仁那自身は心の奥底では女性らしくしたい、恋をしたりしたい、アイドルでありたいと思っている部分があるのに、様々な外的事象がそれを阻んでしまう……これは仁那だけじゃなくて未玖も同じで、自分らしくありたいのに、周りがそれを阻む。
性別性について絡めているけれど、主要キャラみんながそれぞれ自分らしくあるために抗うお話なのだと思います。
漫画『さよならミニスカート(著:牧野あおい)』より
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確かに確率的にはトランスしているトランス女性はそうでないトランス女性に比べて性被害が増えるのかもしれないですが、それで自己責任になると言うのであれば究極的には女性が女性らしく振る舞うことすら自己責任になるじゃないかと思い納得できませんでした
実際一部の国では女性は肌を隠すように強いられていますし、性被害を理由に女性らしさを抑圧するのは間違いで抑圧されるのは性加害の方だと思います