メタモルフォーゼの縁側
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あらすじ
親にも友達にも言えずに毎晩こっそりBL漫画を楽しんでいる17歳の女子高生・うららと、夫に先立たれ孤独に暮らす75歳の老婦人・雪。ある日、うららがアルバイトする本屋に雪がやって来る。
美しい表紙に惹かれてBL漫画を手に取った雪は、初めて覗く世界に驚きつつも、男の子たちが繰り広げる恋物語に魅了される。
BL漫画の話題で意気投合したうららと雪は、雪の家の縁側で一緒に漫画を読んでは語り合うようになるが…。
映画『メタモルフォーゼの縁側』60秒予告
作品説明
『メタモルフォーゼの縁側』は、鶴谷香央理による漫画作品で、2017年から連載され、2022年にはBLにハマる老婦人役に宮本信子、BL好きだけどそれを隠している女子高校生役に芦田愛菜を起用して、実写映画化されました。
女子高生と老婦人のBLコミュニティ
BLを通じて女子高生と老婦人が心を通わせるようになる作品ですが、まず普通に暮らしていたら、なかなか女子高生と老婦人が心を通わせるなんてことはないのかもしれません。しかしこの2人の共通点はBLという……なんとも異色の題材。穏やかで、時に熱くなって、ファン同士が集う小さなコミュニティだけど、それが平和な空間をBLという題材が作り上げていることが素晴らしく感じました。
映画『メタモルフォーゼの縁側』より
女子高生のうららは、隠れてBLを嗜むくらいにはBLが好きで、性的な作品(全年齢)を持っていたり、性的な描写がほぼないロマンスメインの作品を持っていたりと、少ないながら幅広くBLに触れているようです。
反面、老婦人の雪は、表紙が綺麗というだけで買った『君のことだけ見ていたい』の入れ込んでいて、うららから他のをおすすめされて読んではいるようですが、やっぱり最推しは『君見て』のようです。
同じBL好きでも最推しが『君見て』という共通点があるからこそ、年齢なんて関係のないつながりができるのかもしれませんね。
映画『メタモルフォーゼの縁側』より
好きなものを好きといえないうらら
女子高生のうららはBL趣味を友人やクラスメイト、家族にも話しておらず、好きなものを好きといえない女の子でした。それが老婦人の雪と出会って、雪の前だけとはいえ、好きなものを好きといえるようになり、好きなことについて語れるのは、うららにとってはとても嬉しい空間だったのだと思います。
ただとあるきっかけでクラスの女子の間でもBLが流行りはじめ、いわゆる1軍女子は堂々とBLの良さを語っていることに、うららは「ずるい」と感じ、さらにその1軍女子のひとり(幼なじみの彼女)はBL趣味に加えて海外留学にまで一生懸命なことを知って、思わずトゲのある言葉を発してしまいます。
そのことから、うららは単純に「好きなものを好きといえない」だけでなく「自分に自信がない」にもつながっているのかなと感じました。
そんなうららが少しずつ、本当に少しずつ、雪や幼なじみの男の子、BL漫画に元気づけられていく、心の成長具合もこの作品の見どころです。
映画『メタモルフォーゼの縁側』より
原作と劇中作品の実写化
私自身も「好きなものを否定されたらどうしよう」と思ってなかなか言えない部分があるのでとても共感しました。ただ『メタモルフォーゼの縁側』には、誰かの好きを否定するキャラは登場しません。本当に優しい世界で、BLに初めて触れた老婦人も、幼なじみの男の子も、クラスの1軍女子も、誰も否定しないんです。クラスの1軍女子なんて「BLを読んだことあるか?」と聞かれて「読んだことないけど興味はある、読んでみたい」と言ってしまうほど。こういった世界に行ってみたい…。
原作は漫画で全5巻、大筋の展開は一緒ですが、実は映画とは少し違っているストーリーで、原作は原作でまた違ったうららの成長が描かれています。
メタモルフォーゼの縁側/鶴谷香央理
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また映画の中で登場したBL漫画『君のことだけ見ていたい』はボイスコミック化や実写ドラマ化して配信もされていたりもします。映画と合わせて楽しめるかと思います!
Huluオリジナル「君のことだけ見ていたい」予告編
【ボイスコミック】君のことだけ見ていたい 映画「メタモルフォーゼの縁側」公開記念
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