あらすじ
日々に生きづらさを感じている女子高生のハルナ。同級生で美形&ゲイの山田は、ハルナの彼氏・観音崎から執拗ないじめを受けていた。
見かねたハルナは山田を助けると、山田からある秘密を共有される。
距離が近づくふたりに嫉妬した観音崎の暴力は加速し……
映画『リバーズ・エッジ』予告編
作品説明
『リバーズ・エッジ』は、1993年から1994年にかけて連載されていた岡崎京子による少年少女たちの死生観について描いた漫画作品で、2018年に二階堂ふみ、吉沢亮主演で実写映画化されました。
原作が1993年に連載されていたこともあって、作中の時代も90年代なので、2018年に公開された映画は現代版アレンジなどをすることなくファッションや小物などを90年代のものにし、映像も4:3のスタンダードサイズで撮影されています。
原作が1993年に連載されていたこともあって、作中の時代も90年代なので、2018年に公開された映画は現代版アレンジなどをすることなくファッションや小物などを90年代のものにし、映像も4:3のスタンダードサイズで撮影されています。
映画『リバーズ・エッジ』より
登場人物紹介
若草ハルナ(二階堂ふみ)
本作の主人公。サバサバとした性格の高校生。
観音崎が普段からいじめている山田を助けたことがきっかけで、彼との不思議な関係性を発展させていくこととなる。
暴力的で、性的な行為にしか興味が無い観音崎に愛想をつかしつつ、徐々に山田と合うことが増えていく。
暴力的で、性的な行為にしか興味が無い観音崎に愛想をつかしつつ、徐々に山田と合うことが増えていく。
そんな時に山田が自分の秘密として大切にしているという河原に放置された死体を見ることとなる。
山田一郎(吉沢亮)
学校ではそれほど目立つタイプではないが、その容姿から女子生徒の間ではひそかな人気を誇っている。
またそういった人気からか複数の女性と付き合っているという噂が上がっている。しかし本人はゲイで、女性には性的な興味が無い。
またそういった人気からか複数の女性と付き合っているという噂が上がっている。しかし本人はゲイで、女性には性的な興味が無い。
観音崎たちにいじめの標的にされているが、そんな時に助けてくれた若草ハルナと不思議な関係を築くこととなる。
観音崎(上杉柊平)
ハルナが以前付き合っていた男。山田をいじめている張本人で、山田がハルナに近づくことで、嫉妬心を掻き立てられそれがエスカレートしている。
ドラッグを売り買いするなど非行も目立つ。
性行為に傾倒している節があり、ハルナに拒絶されると彼女の友達のルミと行為に耽っている。彼の方はハルナをまだ愛していて、復縁を迫っている。
吉川こずえ(SUMIRE)
ハルナや山田たちの後輩で、河原の死体の秘密を共有する人物の1人。高校生にしてテレビCMやドラマに出演するほどの人気モデル。
しかし、過食嘔吐の症状があり、大量に食べ物を食べては、それを嘔吐するという行為を繰り返している。
本人はレズビアンであり、ハルナに密かに思いを寄せている。
ルミ(土居志央梨)
ハルナの友人。日常的に援助交際や不倫を繰り返し、お金やブランド品を得ては自身の空虚感を満たしている。太っているオタクの姉がいる。
観音崎とはドラッグで繋がり、性行為に耽ることが多くなってきたある日、誰の子なのかも分からないまま妊娠が発覚する。
田島カンナ(森川葵)
名目上は山田の彼女なのだが、山田にとってはゲイをカモフラージュするための彼女。
なんとか彼を振り向かせようと、デートに誘ったり、プレゼントを用意したり積極的にアピールするが、山田はそんな彼女をあまり快く思っていない。
山田がハルナと一緒に談笑しているところを目撃してしまい、嫉妬心に駆られる。
映画『リバーズ・エッジ』より
高校生たちが抱える表裏一体の生と死
作中では死と生に直面する10歳代のまだまだ不安定な少年少女たちを如実に描いていています。舞台はどこかの大都市近郊で、近くには大きな工場地帯があり、異様な臭いを放つ河川、そしてその河原には、動物の「死骸」が転がっていますが、大都市近郊ということで多くの人々が「生活」の拠点している…つまり生と死が入り混じった場所。
本来ならばハルナたち高校生は、夢や希望もあり、青春真っ盛りで「生」に満ち溢れ、「死」とは程遠い存在なのですが、本作のキャラたちは「死」に直面していることが印象的です。分かりやすいのが性行為描写で、性行為そのものは観音崎やルミにとっては「生」を感じられる行為のようで依存気味だが、その代償として妊娠してしまえば「死」の選択を迫られる。
山田やこずえは河原の「死体」を見て、自分は「生きてる」んだと実感する。
他にもこずえは過食嘔吐で食べることの「生」と嘔吐行為の「死」、ゲイなのにカモフラージュのために女性と付き合う山田は生きるために死を選んでいるもの同然で、そんな山田と付き合っているカンナは恋に恋している状態で「生」に満ち溢れている反面嫉妬心で心がどんどん「死」んでいく…
そんな10代の少年少女の表裏一体な生と死を描き、青春に満ち溢れ「死」なんて縁遠い高校生たち!というわけではく、実際の高校生たちは「生と死」が隣り合わせてすごく不安定なんだろうなと感じました。
映画『リバーズ・エッジ』より
ゲイの少年は生きるために死を選ぶ
作中では同性愛者が2人、ゲイの山田とレズビアンのこずえが登場します。90年代の10代の性的マイノリティの子たちは生きているだけで死んでいるも同然の辛さがあったかと思います。
ゲイやレズビアンだと聞いただけで性的で変態的なものを想像され、市民権はなく、差別されるのが当たり前……山田はそんな生きづらい世の中をなんとか生きるための手段として、ゲイであることを隠し女性であるカンナと付き合うようになります。
そんな山田とハルナのやり取りで印象的なものがあります。
ハルナ「ねぇ山田君てスル方なの?される方なの?だって男の人同志っておしりの穴にいれるんでしょ?そういうのどっちが決めるの?痛くない?やっぱ本にあるみたくローションとか使うの?」
山田「じゃあ若草さんはクリ〇リスなめられるのと指突っ込まれるのどっちが好き?フェ〇チオの後飲んじゃうの?それとも出す?」
山田「失礼だよ。ゲイだからってすぐセックスの話を持ち出すのは。若草さんだっていきなり聞かれるのヤでしょ。少なくともぼくはいやだ。ぼくは話したくない。」
90年代にこの結論にたどり着くのは凄いなとちょっと関心しました。もちろん実写映画版でもこのシーンはあります。
生と死が不安定な高校生たちを描き、その少年少女が「生」を獲得する作品…非常に難解で見る人によっては意味不明な描写も多々あるかもですが「生と死」という部分を考えると見えてくるものがあるかもしれません。
映画『リバーズ・エッジ』より
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