アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男
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あらすじ
1950年代後半、西ドイツ・フランクフルト。
経済復興が進む一方、戦争の記憶が風化しようとしていく中、検事長のフリッツ・バウアーはナチス戦犯の告発に執念を燃やしていた。
経済復興が進む一方、戦争の記憶が風化しようとしていく中、検事長のフリッツ・バウアーはナチス戦犯の告発に執念を燃やしていた。
そんなある日、彼のもとに、逃亡中のナチスの大物戦犯アドルフ・アイヒマンがアルゼンチンに潜伏しているという重大な情報を記した手紙が届く。
バウアーはアイヒマンの罪をドイツの法廷で裁くため、部下のカールと共に証拠固めと潜伏場所の特定に奔走するが、ドイツ国内に巣食うナチス残党による妨害や圧力にさらされ、孤立無援の苦闘を強いられる。
そんな状況を打開するためにバウアーが考えついたのは、この情報をイスラエル諜報特務庁(モサド)に提供するというものだった。しかしそれは、国家反逆罪に問われかねない危険な行動であった。
それでもナチス戦犯の告発に執念を燃やすバウアーは、モサドへの接触を図る。そして、これがやがて大きな実を結ぶことになる。
それでもナチス戦犯の告発に執念を燃やすバウアーは、モサドへの接触を図る。そして、これがやがて大きな実を結ぶことになる。
映画『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』予告編
作品紹介
『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男(Der Staat gegen Fritz Bauer)』は、2015年のドイツの伝記映画でナチスの最重要戦犯アドルフ・アイヒマン逮捕の影の功労者であるドイツ人検事フリッツ・バウアーの執念と苦悩を描いています。
国の罪と向きあうバウアー
1950年代、ドイツは戦後の過去の過ちには目を向けず、経済復興に尽力していたところに、待ったをかけたのが本作の主人公ヘッセン州の検事長、フリッツ・バウアー。
彼は自国に対してナチスによる戦争犯罪を追及するべく奮闘していました。
彼は最終的に、数百万のユダヤ人を虐殺したホロコーストの責任者、アドルフ・アイヒマンを追いつめ、のちにはナチの残虐行為の細部を広く世界に知らしめることとなったフランクフルト・アウシュヴィッツ裁判を起こした人物である。
ですが、アイヒマンを追い詰めていたということが分かったのがバウアーの死後10年も経った後のことだったそうです。
彼は自国に対してナチスによる戦争犯罪を追及するべく奮闘していました。
彼は最終的に、数百万のユダヤ人を虐殺したホロコーストの責任者、アドルフ・アイヒマンを追いつめ、のちにはナチの残虐行為の細部を広く世界に知らしめることとなったフランクフルト・アウシュヴィッツ裁判を起こした人物である。
ですが、アイヒマンを追い詰めていたということが分かったのがバウアーの死後10年も経った後のことだったそうです。
「戦前のことは戦前のこと」と割り切り、ナチス時代の罪を振り返ることのない国民が多いなか、自国の過ちに目を向けさせるバウアーの行動は歓迎されるものではなく、彼は孤独な闘いを強いられていたようです。
映画『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』より
同性愛が禁止されていた時代のドイツ
本作の舞台は、刑法175条により同性愛が禁止されていた1950年代後半のドイツ。
作中でも同性愛の是非が何度も問われていました。そんな中、バウアーの右腕となって活動しているカールが結婚もしているが同性にも性的指向が向いている(作中の表現を見るにゲイではあるが世間体のことを考えて結婚したっぽい)ため、同性愛の裁判に異議を唱えていました。
そんな中カールに近づくのは女装男子であるヴィクトリアと距離が近くなる、カールは妻がいる身であることと、自分の検事という立場上、同性であるヴィクトリアに惹かれるわけにはいかないのだが、どんどんとのめりこんでしまいます。
そんな同性に性的指向が向いているカールですが、実はバウアーもまた同性に性的指向が向いているようで、バウアーは彼を守ろうと行動する様は感動しました。
また今回「女装男子」であるヴィクトリアを演じたのは女性俳優であるリリト・シュタンゲンベルク。男性ではなく女性を起用した理由は、男性俳優だとどうしてもハイヒールを履いたときに格好がつかなかったということと、同性愛が許されない…刑法で裁かれるという時代に法廷にいるため、見た目が完全に女性で少しも男性らしさを出したくない故のキャスティングだそうです。
作中でも同性愛の是非が何度も問われていました。そんな中、バウアーの右腕となって活動しているカールが結婚もしているが同性にも性的指向が向いている(作中の表現を見るにゲイではあるが世間体のことを考えて結婚したっぽい)ため、同性愛の裁判に異議を唱えていました。
そんな中カールに近づくのは女装男子であるヴィクトリアと距離が近くなる、カールは妻がいる身であることと、自分の検事という立場上、同性であるヴィクトリアに惹かれるわけにはいかないのだが、どんどんとのめりこんでしまいます。
そんな同性に性的指向が向いているカールですが、実はバウアーもまた同性に性的指向が向いているようで、バウアーは彼を守ろうと行動する様は感動しました。
また今回「女装男子」であるヴィクトリアを演じたのは女性俳優であるリリト・シュタンゲンベルク。男性ではなく女性を起用した理由は、男性俳優だとどうしてもハイヒールを履いたときに格好がつかなかったということと、同性愛が許されない…刑法で裁かれるという時代に法廷にいるため、見た目が完全に女性で少しも男性らしさを出したくない故のキャスティングだそうです。
映画『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』より
バウアーが闘っていた相手は国民
アイヒマン裁判及びフランクフルト・アウシュビッツ裁判について知識があれば、より一層理解が深まる作品ですが、ナチスによる罪深い過去を国民として償おうとする姿勢を理解していれば、十分楽しめる作品かと思います。
ぜひ一度この映画を見て、大東亜戦争と共に起こっていた第二次世界大戦のヨーロッパ側を覗いてみても面白のかもしれません。
ちなみにこの映画の原題は『Der Staat gegen Fritz Bauer』で直訳すると「州vsバウアー」って感じなのかな?英題はもっと分かりやすくて『The People vs. Fritz Bauer』。
「国民vsバウアー」…つまりバウアーが闘っていた相手は、アイヒマンやナチスの残党だけでなく、ナチス時代を振り返ろうとしない当時の国民全員だったということですね。
というか邦題の『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』ってどうなん……分かりやすけど……ダサくない……?
映画『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』より
ちなみにこの映画の原題は『Der Staat gegen Fritz Bauer』で直訳すると「州vsバウアー」って感じなのかな?英題はもっと分かりやすくて『The People vs. Fritz Bauer』。
「国民vsバウアー」…つまりバウアーが闘っていた相手は、アイヒマンやナチスの残党だけでなく、ナチス時代を振り返ろうとしない当時の国民全員だったということですね。
というか邦題の『アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男』ってどうなん……分かりやすけど……ダサくない……?