Love-Juice


あらすじ

レズビアンの千夏とストレートな今日子は、仲良く共に暮らしていた。

愛を求める2人は、夜な夜なクラブへと出向いては恋人探しをしている。

自らが同性愛者であることに苦しむ千夏と、常に心の安らぎを求めている今日子。

だが、千夏が今日子のことを好きになったことにより、友情で成り立っていた2人の関係に亀裂が生じていく。

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映画『LOVE/JUICE』より

作品紹介

『LOVE/JUICE』は、2000年に制作されたつんくタウンFILMS制作の企画第4弾の恋愛映画で、フジテレビ系深夜番組『つんくタウン』で1000万円という低予算で制作された。

レズビアンの女性とストレートの女性で同居する2人の友情と恋愛感情の狭間を描き、レズビアンの女性は自身が同性愛者であることに苦しむ姿も描いています。

脚本の新藤風は2001年にこの作品により第51回ベルリン国際映画祭フォーラム部門新人作品賞、新藤兼人賞・金賞を受賞しました。

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映画『LOVE/JUICE』より

愛と安らぎを求める2人

レズビアンの千夏とストレートの今日子が同居し、お互いに馬が合うのか仲良く暮らしていたが、今日子が恋をしたり、千夏が今日子に恋をしてしまったりして、ふたりの仲に亀裂が生じていくという、ある意味王道な展開です。

面白いのは2人ともが貪欲に「愛」と「安らぎ」を求めている点で、レズビアンの千夏は「女性の恋人」を求めているのに、どうしても同性というだけで「安心感」とは程遠いと感じている。

ストレートの今日子はなんていうか「愛」と「安らぎ」を求めている割には行動は伴っていないというか、どう見ても脈なしの人にアプローチをしたり、千夏との関係に亀裂が入るようなことをしたり(多分ここらへんは欲に忠実なだけな気もする)

狭い水槽の中(というよりガラスのコップ)で飼われていた金魚たちはそんな愛と安らぎに飢えた2人を表しているようで、餌を過剰に与えられて困っている金魚は重過ぎる感情を受け止められない今日子、狭くても2人でいられる幸せを感じる千夏を表現していました。

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映画『LOVE/JUICE』より

レズビアンであることに悩む千夏

千夏はレズビアンであること、自身が女性であること、同居する友人を好きになってしまったことをとても後悔する描写がいくつもありました。

千夏が女性であることに公開していたのは、あくまでも女性だと「好きな女性に振り向いてもらえない」「女性に恋愛対象として見てもらえない」「安定した恋愛に発展しない」ことに由来していて、レズビアンである悩みと被っていますが、2000年当時の日本はまだまだ同性愛の理解度も低く、千夏のように同性愛者である自分に苦しんでいる人は多かったかと思います。

さらには同居する友人を好きになってしまい(しかもベッドはひとつしかないから一緒に寝るし、エチチなこともしちゃってる仲)、振り向いてもらえないことは分かっていても感情をぶつける他なく、結局は今日子から拒絶されてしまいます。

友情という皮をかぶっていれば、ずっと一緒にいられるしずっと一緒に暮らしていけるのに、感情をぶつけるしかできなかった千夏のことを考えると胸が苦しくなります……そして千夏は自棄と冷静の狭間で今日子から離れる決断をしたのはとても勇気のいることだっと思います。

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映画『LOVE/JUICE』より
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