先輩はおとこのこ/ぽむ
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あらすじ
花岡まことは後輩の蒼井咲から告白を受ける。
そこで、まことは自身がセーラー服と長髪のウィッグを着用しているだけで実は男子であるということを明かす。
そこで、まことは自身がセーラー服と長髪のウィッグを着用しているだけで実は男子であるということを明かす。
しかし、その後も後輩の咲はまことについてくる。後に、まことに対して特別な感情を抱いているまことの幼馴染・大我竜二を加えた3人の間で淡い恋心が揺れ動く。
▼テレビアニメ『先輩はおとこのこ』PV第1弾▼
作品概要
『先輩はおとこのこ』は、ぽむ氏による漫画作品でいわゆる男の娘である花岡まことを主軸として「男女3人の人間模様と繊細な心理描写」が描かれている作品です。
2021年に一旦連載が終了しましたが、前日譚を描いた『先輩はおとこのこ 出会い編』として2023年12月21日から連載が再開され、2024年にはアニメ化、2025年にはテレビアニメの続編のアニメ映画『映画 先輩はおとこのこ あめのち晴れ』が公開予定です。
『LINE漫画』としては1番の成功作品ではないかなと思います。
作者Twitter(現X)より
『LINE漫画』としては1番の成功作品ではないかなと思います。
「女の先輩だと思って告白したら男の娘でした」というキャッチ―である意味「出オチ」感満載の物語ですが、なかなかどうして、主人公のまこと、後輩の咲、まことに特別な感情を抱いているりゅーじの思春期ならではの恋模様を飽きさせずに描いています。
テレビアニメ『先輩はおとこのこ』より
男の娘・まことくんの魅力
作中でも物語概要でも「男の娘」と表現しているので「男の娘」と表現しますが、主人公であるまこと先輩は、学校ではセーラー服にロングヘアのウィッグをかぶり、女の子として過ごし、その反面、学校外では基本的には学ランにロングヘアのウィッグ外し、男の子として過ごしています。これはまことくんの家庭環境が影響していて、まことくんの母親はまことくんのいわゆる少女趣味を受け入れられず、まことくんには男らしくするよう強要していて、父親の方はそんなまことくんの複雑な気持ちを察知してあげて、せめて学校だけでも女の子で過ごせるようにしている、という状況です。
漫画『先輩はおとこのこ』より
まことくんの「性自認」は定かではない(というより、作品はそこに重きを置いていない)ので分からないのですが、まことくんの行動言動から「可愛いものが好き」「可愛いものを身に着けたい」「男の子だとカテゴライズされることはイヤではない」といった感じでしょうか。
「可愛いものが好き」ということなので、その「可愛いもの」を否定されるとひどく落ち込むような描写もあります。
またまことくん自身も「女の子になりたい」のか「男の子のままでいたい」のか、とても悩む描写があり、そういった描写から「トランスジェンダーが主人公の作品」なんて言われているみたいですが、どちらかというと「男の子でも可愛いものが好きだし、可愛いものを身に着けたい」というすごく単純なお話だと感じました。
漫画『先輩はおとこのこ』より
男の娘、後輩女子、幼馴染男子の三角関係
男の娘であるまことくん、そんなまことくんを女の子だと思って告白し、男の娘だと知ってからも好きだと言い続ける咲ちゃん、まことくんの幼馴染で特別な感情を抱いているりゅーじの三人の恋模様もこの作品の見どころのひとつです……が、私主観で申し訳ないけれど、これに関しては、りゅーじくんが可哀想で可哀想で、本当途中見るのが辛かったくらいだし、なんならまことくんにも咲ちゃんにもヘイトがたまって辛かったです笑
まことくんは恋愛というものがまだよく分かっていない、というより、男の子でもあり女の子でもある自分にいっぱいいっぱいという感じで、咲ちゃんもまたまことくんのことが本当の意味で好きなのかどうか分からなくなって…
そんな中、りゅーじは自身の想いをふたりに知られてからは、咲ちゃんに恋を応援されたり、まことくんと付き合ったり……この期間のりゅーじは本当に可哀想だった……。
漫画『先輩はおとこのこ』より
アニメでは3人は和解して……というよりもアニメでは10話(全12話)の時点ではもう和解していて仲良し3人組になっているのですが、原作では続きがあり(多分そこを映画でやるのかな?)3人の恋模様にも改めて決着がつきます。
(正直、あの結末にはあまり納得がいっていない勢ですが…)
ちょっと批評…
ちょっと辛辣なことを言います。苦手な人は回れ右です。男の娘の先輩と女の子の後輩と幼馴染の男の子、というありそうでなかった3人の恋愛模様、まことくんの男の子か女の子かの選択、咲ちゃんの家庭事情といういろいろな要素がある作品ですが、正直言うとちょっと中途半端な印象を受けました(LINE漫画の特性上しょうがない部分はある)。
特に咲ちゃんの家庭事情は咲ちゃんのバックボーンとしては大切かもしれないけれど、物語のノイズでしかなく、結局まことくんもりゅーじも振り回しただけで、ほとんど自己解決に近いものだったし。
コレだったらむしろ早瀬さん(入学当初からまことくんを女の子だと思って友達関係にあったが、男の子だと知って離れていった元友達)の掘り下げや、修学旅行もあったのでこういった作品のド定番である寝室やお風呂などの男の娘イベントハプニングとかも掘り下げた方が良かったのでは?という印象。
漫画『先輩はおとこのこ』より
またまことくんが女の子の格好をしている理由は「可愛いものが好き」に集約されているから良いけれど、なぜ「まことくんの母親はそれを毛嫌いしているのか」の掘り下げも甘い気がしました。理由も「ナニソレ」って感じだったり(アレが理由なら根っからのトランスフォビアでも良かった気がする)、まことくんとの和解も異常なまでにあっさりしている。
あとこれは本当に賛否両論だと思うのですが、アニメでのまことくんの声優さん。今回男の娘役であり、ずっと女の子の格好をしているわけではなく男の子の格好をする時もある…という設定で男性声優さんがキャスティングされています。
男性声優がキャスティングされる分には全然いいのですが、全然まことくんに合ってないと感じてしまいました。もともと柔和な声質の声優さんなので頑張ってはいるのですが、それでも学校生活を送っていても男だとバレないとは言い難い声質で、物語的にも違和感がすごかったです。
もっと女の子らしい声質の男性声優さんもいるし、声質的には男性的でも演技や息遣いでそう感じさせない男性声優さんもいる中……すごく残念だと感じました。
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とまぁオタク目線の戯言辛辣コメントを言いましたが、男の娘が主体で恋模様やバックボーンに真摯に向き合った作品としては珍しく、とても良いと思いますので、今後もそういった作品がどんどんアニメ化しないかなぁという願望。
漫画『先輩はおとこのこ』より
本編と直接関係ないんですが、これに関してネット上で「『自分は男』ってまこと自身が言っているんだからまことの性自認は男でクロスドレッサーなんだろ」みたいな意見をちょくちょく見かけたんですが、「自分が肉体的に男性と理解している」のと「性自認が男」は違いますよねぇ?
リアルだと思春期頃、他人に恋愛感情抱いた際肉体性別準拠で「自分は同性愛者なのかな?」って思ったトランスジェンダーの人結構いるみたい(ちぃさんもそんな事書いてましたっけ)ですし、フィクションでも男の娘キャラが「性自認女性」と明記されてても「アタシ男だから」な発言するのは王道次元ですし。