13月のゆうれい/高野雀
posted with カエレバ
あらすじ
女と男と女装男子の三角関係。
ネリが3年ぶりに再会した、双子の弟・キリ。彼はネリにそっくりな顔で、ネリがおよそ着ないような「かわいい」服に身を包んでいた。
ネリが3年ぶりに再会した、双子の弟・キリ。彼はネリにそっくりな顔で、ネリがおよそ着ないような「かわいい」服に身を包んでいた。
感想
『13月のゆうれい』は高野雀による、かわいいが嫌いな女の子とかわいいを着こなす女装男子とそんな2人の間に挟まれる男子の、かわいいに振り回される男女三人のラブロマンスです。
ネリとキリは男女の双子で、キリが女装をすると双子の姉・ネリそっくりになる(キリ本人は意識したわけではなくたまたま似てしまったとのこと)、そんな女装姿のキリに恋心をいただいている高校時代の同級生・周防。そんな周防に恋をした(見た目がドタイプ)ネリという三角関係。
ラブロマンスに関してはキリは巻き込まれているだけで、ネリと周防がわちゃわちゃしている印象で面白かったですね。
物語中盤で周防とネリは付き合うようになるのですが、ネリは当然「キリに似ている私だから選ばれた」と思う葛藤や周防自身も恋愛自体がよく分かってないのに、女装をしたキリにだけときめきを感じるという苦しみ(普段の男の姿のキリにはときめかないっぽい)
そんな複雑な三角関係にも注目ですが、女装を楽しむキリの恋愛観…というかトラウマ払拭の過程にも注目です。
ネリとキリは男女の双子で、キリが女装をすると双子の姉・ネリそっくりになる(キリ本人は意識したわけではなくたまたま似てしまったとのこと)、そんな女装姿のキリに恋心をいただいている高校時代の同級生・周防。そんな周防に恋をした(見た目がドタイプ)ネリという三角関係。
ラブロマンスに関してはキリは巻き込まれているだけで、ネリと周防がわちゃわちゃしている印象で面白かったですね。
物語中盤で周防とネリは付き合うようになるのですが、ネリは当然「キリに似ている私だから選ばれた」と思う葛藤や周防自身も恋愛自体がよく分かってないのに、女装をしたキリにだけときめきを感じるという苦しみ(普段の男の姿のキリにはときめかないっぽい)
そんな複雑な三角関係にも注目ですが、女装を楽しむキリの恋愛観…というかトラウマ払拭の過程にも注目です。
漫画『13月のゆうれい(著:高野雀)』より
「かわいい」に取り憑かれた3人
メインの3人は「かわいい」に振り回されます、特に「かわいい服」に。ネリは男勝りな自分と「かわいい弟」に振り回され、かわいいを捨てました。その結果、モテたいという願望とは裏腹にかわいいファッションができないでいる。ちなみにネリ自身は「かわいい服が本当は嫌いではない(着こなせるかどうかは別)」し、かわいい服が似合うことも「女装をする双子の弟」の存在で分かってしまっている状態。
漫画『13月のゆうれい(著:高野雀)』より
対してキリは「かわいい自分」が嫌だった。嫌と言うより恐怖。それは小学生の時に「かわいい」を理由に変質者にイタヅラをされたトラウマから来ています。中学生の時に「かわいい」とからかった男子に対して癇癪を起すほど。
そんなキリがかわいい女装をするようになったのは高校での女装コンテストでのこと。想像以上に女装が似合っていたキリに周囲は口々に「かわいい」と言い、それに対してキリも「あれ?怖くなかったぞ」となった。そこから「かわいい女装なら怖くない」ということに気づき、プライベートでは女装を嗜むようになります。
要は「かわいい自分」から逃げるために「かわいい別人」になる、そんな感じだと思います。
ちなみにキリはあくまでプライベートで女装を嗜んでいるだけで、仕事は男の姿で行っています。
漫画『13月のゆうれい(著:高野雀)』より
そして「かわいいキリ」に振り回されるキリの同居人・周防。彼もまたかわいいに振り回される人物で、彼は「恋愛」が苦手だったのに最初にときめきを覚えたのは「かわいい女装をしたキリ」だったもんで、その後の恋愛もずっと「かわいい女装をしたキリ」の亡霊に付きまとわれてうまく恋愛ができないでいる。
そんな周防の前に「女装をしたキリ」に瓜二つなネリが現れ、さらにはそんなネリが自分を好いていることまで分かってしまう…ただしネリはキリとは違ってかわいい恰好をしないし、やっぱり自分が恋した「かわいい女装をしたキリ」とも違う……それらに周防がどう向き合うかも注目です。
漫画『13月のゆうれい(著:高野雀)』より
結局「かわいい」とは何なのか?
「かわいい」とはなんなのか。よく「女の子はなんにでもかわいいって言う」みたいな話がありますが、そういったコミュニケーションツールとしての「かわいい」ではなく、かわいいとは具体的になんなのか。
ネリもキリも「かわいい」故に性の対象にされてきました。ネリはかわいいを「捕食される側への賛辞」だと思っているし、キリも「かわいいは怖い」という。
そんなネリとキリはかわいいを捨てたり身に着けたりしながら、周防とも交えて「かわいい」に結論を出します。
ネリの結論は言葉にしているので分かりやすいですが、キリの結論は行動なのでちょっと分かりにくいかもですが、ふたりの出した結論には「納得」と「感嘆」を感じました。
漫画『13月のゆうれい(著:高野雀)』より
タイトル『13月のゆうれい』
タイトルの『13月のゆうれい』…DOTAMA×ハハノシキュウさんによる『13月』とSugar's Campaignによる『放課後ゆうれい』から来ているそうで、タイトルに悩んだ末当時よく聞いてた楽曲から取ったそうで、書籍の内容と楽曲は特につながりがないそうです。ですが、かわいいという見えない亡霊に取り憑かれていた3人がそれぞれに答えを出したところ見ると『13月のゆうれい』というタイトルにも深みが出るような気がしました。
漫画『13月のゆうれい(著:高野雀)』より
個人的には周防君が取り憑かれいた亡霊を退治して、本当は自分がどうしたかったのかに答えを出す様が好きでした。亡霊退治といっても、ネリとキリがどんどん自分の亡霊を退治してしまった結果、周防君の亡霊まで対峙しちゃったって感じなんですけどね。
すっごい抽象的な表現ですが、作品を読むとそうとしか言えなくなります笑
女装男子とその女装男子にそっくりな姉、女装男子にほのかな恋心を抱いてしまった男子の複雑な三角関係が気になった方は是非!
漫画『13月のゆうれい(著:高野雀)』より
▼あわせて読みたい▼
●【思春期の性から逃げ出したい】おかえりアリス【漫画】
● 【憧れのあの人の正体は…?】つれないほど青くてあざといくらい赤い【漫画】
●【“フツウ”じゃない2人】君に好きと言えるまで【漫画】