裸足のせいめい02


あらすじ

恋をしない人と“恋”についての話をしよう。

これは、恋をしない人と恋をする人が共に生きるための物語。

桜井飛鳥には恋愛感情がない。そんな自分を「普通じゃない」なんて思ったことはなかった。10年前の、あの一瞬を除いては――
男女4人、かけがえのない存在に至るまでの恋と友情の物語が始まる。

裸足のせいめい06
漫画『裸足のせいめい(著:栄太)』より

感想

『裸足のせいめい』は栄太による漫画作品で、男女4人の友情と恋愛模様を中心とした青春漫画です。

飛鳥とひな、学(がく)とレオの4人は仲良しの4人組だけれど、その付き合いは10年前の高校時代からで、1度は崩れかけた仲良し4人組がどう再び集まることができたのか…を見られる物語。

飛鳥は仲良し4人組を心地よく思っていて、この関係がずっとずっと続けばいいなとなんとなく考えている。そんな飛鳥に想いを寄せているのがひな。ひなは誰とも付き合わない飛鳥に対して「自分も振られるのではないか」という思いからなかなか進展できないでいる。

そんなふたりを時には見守り、時には背中を押してあげる学とレオ…といった関係性。

物語自体は比較的淡々としていて、それでいて青春のキラキラ感やそれぞれの感情がひしめき合っていて、読んでいて胸がキュッと締め付けられるような作品でした。

裸足のせいめい02
漫画『裸足のせいめい(著:栄太)』より

4人の複雑な恋模様

物語冒頭で分かるのですが、恋をしているのはひなだけじゃなく、学もレオも恋をしている。

レオはひなに、学は飛鳥に恋をしている…つまり同性間の恋愛故に2人は一歩も踏み出せないでいる状態、とくにレオに関してはひなが飛鳥に恋をしていることを知っているので、すごく複雑な心境だったと思います。

学もまた、告白されても誰とも付き合わない飛鳥に安心しつつも、結局は自分もその土俵に立てていないことに歯がゆさを感じている状況。

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漫画『裸足のせいめい(著:栄太)』より

そんな恋する3人の中に恋をしていないのが1人、飛鳥は誰にも恋の矢印が向いていないし、告白されても誰とも付き合わない(すごく人たらしなのでモテはする)、そんな飛鳥は誰とも恋愛をしない(できない)でいる状態。

ひなの想いは届くのか、学とレオの気持ちはどうなるのか、飛鳥どう答えを出すのか、そんな複雑な4人の恋模様が本作の見どころとなっています。

裸足のせいめい04
漫画『裸足のせいめい(著:栄太)』より

10年越しのひなの答え

作中で特に明言はされていませんが、おそらく飛鳥はアセクシュアルとして描かれています。

そしておそらくは学はゲイ、レオはレズビアン(バイセクシュアルの可能性もあるし、10年経っても想い続けてるっぽい2人にそういうカテゴリーは無粋かもしれないけれど…)。

そんな中、4人の中で唯一恋愛においてマジョリティであるヘテロセクシュアルのひなは、まさに恋に恋をしている状態。

そんなひなに対して、それぞれ「実ってほしい」という気持ちと「(世間体とか気にせず)告白できる権利があるのが羨ましい」という気持ちとがあって、そういった機微にひなは気づかず、自分の恋愛に一生懸命になってしまっているのは、青春時代あるあるだなぁと思いました。

個人的に好きなのは、そんな自分の恋愛に一生懸命すぎたひな10年越しにたどり着いた答えを飛鳥にぶつける瞬間が好きですのでこれは是非本編を読んでほしい。

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漫画『裸足のせいめい(著:栄太)』より

まとめ

個人的に残念だなって思ったのは4人の物語なのにメインでスポットが当たったのが飛鳥とひなだけだったこと。

一応最後にレオと学、それぞれの視点の物語があるけれど……2人にはいろんな意味で恋愛的に報われてほしいなあと思う反面、異性愛者とアセクシュアルに恋をしてた時点で難しいんだろうなあと思ったり。

あとがきによると作者さんは「全4話で終わるつもりだった」とのことで、ここまで肉付けしてくれたことに感謝なのかもしれない、それでいて「現実では綺麗にことが収まることがない」ことを理由に綺麗に物語を描いてくれたことに感謝です。

これを読んで、少しでも「青春時代の恋愛模様」を感じたり、もっと平たく言うと「恋をしない人」のことも知れる機会になったのかなって思います。

裸足のせいめい01
漫画『裸足のせいめい(著:栄太)』より